れい@未熟なパパさん新聞

父親になりました!家族に1番の幸せを感じてもらえるように日々努力していきます!その日常を投稿していきます。また、YouTubeもやってるので見てみてください!https://youtube.com/channel/UCEiX0KOUIvEHonIuaLYVkWw

MENU

「ガリガリ君」に潜む悪魔に出くわしたお話。~俺はお前を絶対許さない~

f:id:reilab:20211007132811j:image

そう。それは夏の終わりを迎えたころだった。

 

蝉の声も聞こえなくなり、陽が沈む速さに驚いていた。

 

僕は仕事を終え、妙な充実感を味わっていた。

 

いつものように車に乗り、おなかをすかしながら家路をたどる。

 

普段と変わらない道だが、交通量は多い気がした。

 

そんな日は決まって、イライラしたりするのだが

 

今日はそんなことはない。

 

なぜだろう?

 

きっと思いのほか仕事ができたからだと思った。

 

予想よりうまくいった達成感があるのだろう。

 

次の日は休日なんかではないが、やはり僕の心は少し高揚しているみたいだ。

 

僕の帰宅までのルーティーンといえば、この後、

 

ローソンに行き、えるちきとコーラをかう。

 

僕はコーラが非常に好きだ。

 

家の蛇口からでてもいい。

 

コーラ風呂だって入れるはず・・・。

 

いや、それはちょっと嫌だな。

 

股間が炭酸でひりひりしそうだ。

 

意外と気持ちいいのかもしれないな。

 

そんなことを考えながら、その日もローソンに向かった。

 

家から歩いて3分ほどの最寄りのコンビニだ。

 

店員は全員知っている。たまに新人を見たりすると、

 

「またすぐやめるんだろうなー」なんて

 

思ったりもする。

 

ローソンに入り、すぐ左に曲がる。

 

そしてドリンクコーナーでコーラを手に持ち、レジの前に行き、えるちきを頼んで清算する。

 

ローソン内での黄金ルートはすでにできているのだ。

 

その日も入ってすぐ、ドリンクコーナーに行き、コーラを手に持った。

 

そして、レジに行こうとすると、客が並んでいた。

 

今日は客の多い日だなとか呑気なことを考えながら、4番目くらいの位置に並んだ。

 

そこで僕は不安を感じた。

 

そしてその嫌な不安は見事的中したのだ。

 

「えるちきがない」

 

そうか、客が多いということは、えるちき争奪戦に巻き込まれているということなのか。

 

ぼくは「カイジ」のごとく、えるちきという報酬を手繰り寄せるレースに参加していたようだ。

 

だが、僕はえるちきがめちゃくちゃ好きというわけでも、食べたいわけでもない。

 

ただ、コーラのあてにえるちきを選んでから、それがルーティーンになっているだけだった。

 

はえるちき以外の揚げ物を食べようと思った。

 

下の段をみると、「からあげくん」なるものが売っていた。

 

名前は聞いたことはあるが、えるちきを盲目的に頼んできた僕にとっては初めての経験だ。

 

なるほど、レッドというピリ辛味もあるのだな。

 

それを買おう。

 

ぼくはからあげくんに心を許した自分の浮気心に反省しながら、列に並んだ。

 

おばあちゃんが一人でレジを打っている。

 

誰も応援に来ない。

 

そもそも一人しかいないのだろうか。

 

僕の口はからあげくんを待っている。

 

もどかしい気持ちを抑えて静かに列で待機していた。

 

左下をみると、アイスが売っていた。

 

僕は飲み物とアイスはどちらか片方でいいタイプだから、アイスを買う気はない。

 

コーラ一択だ。

 

興味はないが、ぼんやりアイスを眺めていた。

 

なるほどなー、最近のアイスの種類の多さに驚いたが、懐かしいアイスを発見した。

 

「がりがりくん」

 

あの奇天烈な頭の形、昭和を思い出させる少年感、坊主頭にランニングシャツ、そんな時代を乗り越えてきたガリガリくんに思いを馳せて、最初に食べたころはいつだったかなと考えてみる。

 

しかし、思い出せない。というか、一度も食べたことがないかもしれない。

 

そんなことはどうでもいい。

 

レジに並ぶ。

 

 

とうとう僕の番が来た。

 

ぼくはすかさず揚げ物売り場を指さして店員に言った。

 

ガリガリ君レッド一つください」

 

一瞬間が開いた。

 

変な空気になった。

 

からあげくんはまだ残りがある。何もおかしくない。

 

だが、なんだこの感じは。

 

中学生のころに友達に無視されるといういじめにあった時に似ていた。

 

店員は言った。

 

「からあげくん、レッドですか?」

 

ぼくはその時にすべてを悟った。

 

ぼくは自分が注文した言葉がまだ頭にこびりついている。

 

その言葉と店員の言葉が異なっていることに気が付くのには、1秒もいらなかった。

 

ぼくはガリガリ君を直前に視界に入れたことで、からあげくんとごっちゃになってしまったようだ。

 

ぼくは恥ずかしくなり、なにもしゃべることができなくなった。

 

マスクの時代でよかったと、はじめてコロナに感謝をした。

 

きっと僕の顔はゆでだこ状態になっていただろう。

 

僕は表情を変えずに深くうなずいた。

 

そして店をでた。

 

のちに「がりがりくん」の人とあだ名がついたらしいが

 

僕は「がりがりくん」は買っていない。

 

とんだ勘違いだ。

 

そして、からあげくんは美味しかった。

 

ピリ辛具合がコーラに合う。

 

今後はえるちきとからあげくんを交互に買っていこう。

 

新たな発見ができて、僕はちょっと満足だった。

 

しかし、恥というそれなりの代償を支払ったが。

 

そしてもう一つ、恥以外にも大きな代償があった。

 

 

 

 

 

僕は家から10分ほどの最寄りのローソンの帰り道、そんなことを思った。